Rudo's Hat Hut

Stardust Alone のボーカリストであり作曲家、流堂エスの「Hat Hut」へようこそ。

「サルミアッキ」でわかる味覚の違い

Stardust Alone の楽曲に「サルミアッキ」というものがある。サルミアッキとは、世界一不味い飴とも言われるスウェーデン発祥のお菓子なのだが、その味を人生に見立てた曲である。

この楽曲、全体的にはかなり気に入っているし、評判もいい。中毒性もある。そして何より歌詞がよい。スタアロの歌詞は私が担当してはおらず、愛読家であり小説家でもあるギタリストのSEULが書いてくれているのだが、彼が殴り書きした歌詞が素晴らしいのである。

...一箇所を除いて。


私はコーヒー愛好家である。コーヒーを飲まなくては生きていけないし、多分飲まなかったら死んでしまう。しかし飲みすぎてもカフェイン中毒で死んでしまうので、その葛藤でまた死にかけている。そんな私なのだが、ライブをするたびにこの「サルミアッキ」で、思ってもいないことを歌わねばならない。

問題は「Black coffee よりも不味い飴が」...という歌詞である。なんだと。サルミアッキは確かに不味い。しかし Black coffee は不味くはない。"よりも"だと...?Black coffee は美味しい。丸福珈琲とドトール最高。


SEULは言う。「人生もなにもかも苦いんやから、コーヒーは甘くていいやん?」。なるほど。彼は甘党であり、茶店ではココアしか頼まない。そんな彼にある日 Black coffee を飲ませてみたら、渋い顔をしながらマックスコーヒー飲みたいと言われた。

まあ、この時の感想が「サルミアッキ」にも繋がるのだろう。サルミアッキには勝てないが、その次に不味いものの代名詞として Black coffee が彼の脳内に登場してしまったのは、もしかしたら私が彼に初めて飲ませた Black coffee (私が淹れた coffee) が悪かったのかもしれない。だが、これを歌唱するのが私であるため、まるで私が Black coffee 嫌いのように見えてしまうのには少しばかり"ウッ!"となる。私はコーヒー愛好家である。私はコーヒー愛好家である。


私はいつも自分に「SEULの意見をかわりに語っているだけだ...」と言い聞かせながらこれを歌っている。「Black coffee よりも不味い飴が」と。コーヒーは美味しいからやめられない。かっぱえびせんのように。

f:id:rudo_s:20240725015421j:image